紙の種類 (紙豆知識)

それぞれの紙の性質・特性等は、リンクをクリックするとその説明がご覧いただけます。

主な印刷用紙(ノンコート)上質系

 
  • 晒化学
  • パルプ
白色度
  • 坪量g/㎥
  • (厚さ)
用 途
上級印刷紙 印刷用紙A 100%   40.0~217
その他印刷用紙 100%   40.0~157 書籍、辞典、地図、クリーム書籍
筆記用紙A おおむね100%   40.0~157 ノート、便箋、帳簿
図画用紙(A1.A2)     78.3~205 製図、スケッチブック
薄葉印刷紙 インディアペーパー     (40~50㎛)
タイプ・コピー用紙     40以下 タイプライター用紙
その他薄葉印刷紙     40以下 カーボン紙原紙、エアメール用紙、転写紙
特殊印刷紙 色上質紙 100%    
  • 特殊印刷用紙
  • 官製はがき用紙
  • その他
     
情報用紙 複写原紙       ノーカーボン原紙、裏カーボン原紙
感光紙原紙       ジアゾ原紙
フォーム用紙       NIP等
PPC用紙       PPC用紙
情報記録紙       感熱記録紙原紙、IJ記録紙原紙
その他       OCR、OMR用紙

主な印刷用紙(ノンコート)中質系

  晒化学パルプ 白色度 坪量g/㎥
  • 密度
  • (緊度)
用途
中級印刷紙 セミ上質紙 90%以上 75%前後 60.2~81.9  
印刷用紙B 70%以上 70%前後(65%以上) 51.8~81.9(40.0~157)  
  • 教科書、書籍、雑誌
  • 文庫本の本文
印刷用紙C 40~70% 65%前後(55%以上) 51.8~54.2(40.0~157)   雑誌、電話番号簿の本文
グラビア用紙 ~99%       雑誌等のグラビア印刷ページ
下級印刷紙 白上更 ~40% 60%前後 50~55(40~157) 0.6g/cm3
上更 ~40% 55%前後   0.6  
~40% 50%前後   0.6 新聞と同じグレード*
ラフ更 ~40% 55%前後   0.4以下  
  • 印刷せんか紙
  • (特殊更紙)
0%(古紙パルプ100%)       漫画誌、コミック誌の本文
新聞巻取紙 A巻~E巻 20~30%位 50%前後   52±2~43

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主な印刷用紙(コート)

  品種 系統():原紙 塗布量 白色度 主流坪量g/㎥ 用途
アート紙 A1* 上質系
  • 両面
  • 40g/㎥前後
82~84% 84.9~157
コート紙 上質コートA2 上質系
  • 両面
  • 20g/㎥前後
82~84% 73.3~157
中質コート B2** 中質系
  • 両面
  • 20g/㎥前後
70~80% 60.2~72.3 雑誌本文、カラーページ、チラシ
軽量コート 上級軽量コート A3 上質系
  • 両面
  • 15g/㎥前後
80~84% 80~84
中質軽量コート B3 中質系
  • 両面
  • 15g/㎥前後
  60.2未満 雑誌本文、カラーページ、チラシ
微塗工印刷用紙 微塗工印刷用紙1
  • セミ上質系
  • (印刷用紙B)
  • 両面 12g/㎥以下
74~79% 50~75
微塗工印刷用紙2 中質系(印刷用紙C) 両面 12g/㎥以下 73%  
  • 商業印刷、カタログ
  • チラシ、雑誌本文
その他塗工紙 キャストコート 化学パルプ70%以上       高級美術書、雑誌の表紙
エンボス紙         カタログ、パンフレット
アートポスト         絵葉書、カード、高級包装
純白ロールコート         絵葉書、カード、高級包装
  • * AO(スーパーアート)として、塗布量は両面40g/㎥でA1と同じですが、A1より光沢、平滑性の良いものを分類する他、超A0という分類も使われる場合があります。
  • ** 白色度によってB2a~B2cにグレード分けします。(74~80、70~74、70%前後)
  • *** 各クラスにおいてグロス、ダル、マットあるいはオフセット用、グラビア用のグレードがそれぞれある他、A2では高白、グロス、上級ダル、上級マット、エンボスに分類されます。

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紙の説明

上質紙
  • 上質紙は、化学パルプだけで製造したものを指します。
  • 上級印刷紙(印刷用紙A、その他印刷用紙、筆記・図画用紙)薄葉印刷用紙、特殊印刷用紙(色上質紙、その他特殊印刷用紙)といった化学パルプ100%の印刷・情報用紙を言います。
  • 狭義の分類では、上級印刷用紙を指し、印刷用紙Aだけを指すこともあります。
  • 上質紙は、書籍本文、雑誌のグラビア、紙製品や商業用印刷に使用される最も一般的な用紙です。
  • 白色度、平滑性が高く、地合がよく、表裏差が少なく、紙剥けに強く、用紙のこしがあるため、あらゆる印刷に適正を持ち筆記性のよい汎用紙です。
中質紙
  • 中質紙の狭義には、印刷用紙Bを、広義には、中級紙を指し下級紙や新聞巻取紙も含むことがあります。
  • 晒化学パルプ100%でない機械パルプを少しでも含むものを言います。
  • 中級紙には、セミ上質紙、印刷用紙B、印刷用紙C、グラビア用紙があります。
  • 下級用紙には、印刷用紙D(色上更・上更・更・ラフ更)、印刷せんか紙(古紙パルプ100%)が含まれます。
  • 印刷用紙Bは、化学パルプ70%以上、機械パルプ(GP他)30%以下を混入したものにカオリンやタルクを内添して、上質紙と類似した工程を経て作られ、書籍、雑誌、教科書の本文によく使われます。
  • 機械パルプは、不透明性が高く、吸油性、クッション性も高く、出来上がった用紙は嵩高になります。
  • セミ上質紙は、晒化学パルプ90%以上の比率で配合した用紙で、上質紙に近い白さ、白色度72~78%前後を示します。
  • グラビア用紙は、グラビア印刷の用紙に欠かせないクッション性、平滑性を備えた用紙で、雑誌のグラビア頁等に用いられます。
  • 機械パルプを含む中質紙の紙に共通しているのは、光が当たると少しずつ白さが低下していくことです。
塗工紙(コーテッド紙)微塗工紙
  • 塗工紙は、上質紙または中質紙を原紙にして、その上に白色顔料(ピグメント)を塗工した用紙です。
  • この塗工層を設けることにより、用紙表面の平滑性が高くなるとともに、インキの着肉性、ビヒクルの浸透性もよくなり、濃度、色、光沢、網点再現性といった印刷品質が向上します。
  • 塗工紙は、原紙の種類(上質紙・中質紙)、塗工量、表面の仕上げ方(光沢・半光沢・非光沢)の組み合わせで各種あります。
  • 原紙が上質系のものは、略号にAが付き、中質紙の場合にはBが付きます。
  • 番号の略号は、数字が大きいほど塗工量が少なくなります。
アート紙(A1)
  • 比較的薄い原紙に、白色顔料の塗料(カラー)を片面当たり20g/㎥前後塗工します。
  • 片面だけ塗工したものは、片面アートとして区別する他、特アートは上質系原紙(上質紙A等)、並アートは中質系の原紙(印刷用紙B等)を用いたもので、この場合耐候性に難があります。
  • 印刷光沢度、網点の再現性等の印刷品質がよく、高級美術印刷に用いられます。
  • 片面アート紙は、表紙やラベル、ポスター等に用いられます。
  • A1より光沢性、平滑性を高めたスーパーアートA0、超A0といった塗工紙も出てきています。

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コート紙(A2・B2)
  • コート紙は、抄紙機と一体となって原紙にカラーを塗工することが一般的になってきました。
  • 塗工量は、片面10g/㎥前後です。
  • 上質系を原紙にしたA2が汎用されています。
  • オフセット、グラビア等の印刷適性もよく、白色度、光沢性、印刷品質を備えています。
  • 表面仕上げはスーパーカレンダーで行ないますが、この時、強平滑化処理を行なうと強光沢(グロス調)になり、未加工かマットカレンダー加工を行なうとつや消し(マット調)になります。その中間がダル調、マットグロス調といい、白紙はつや消し状で、印刷部分が光沢になります。A2、B2含めて、各種のコート紙にこのような表面仕上げのものが用意されています。
軽量コート(A3・B3)微塗工紙1・2
  • 軽量コート紙は、カラーを両面で15g/㎥前後塗工した紙で、原紙が上質系か中質系でA3、B3に分類されます。
  • カタログ、雑誌の本文用紙、雑誌のカラー頁、チラシ等によく使われます。
  • 微塗工紙は、カラーを両面で12g/㎥以上塗工した用紙で、坪量が50~75g/㎥程度のものを言います。
  • 微塗工紙1は、セミ上質紙、印刷用紙Bを原紙として、白色度が74~79%のものを言います。
  • 微塗工紙2は、印刷用紙Cを原紙として、白色度が73%以下のものを言います。
インディアペーパー(紙)
  • 辞典、聖書等の本文用紙に用いられる薄葉印刷用紙。
  • 薄くて不透明性があり、オフセット印刷適性があります。
  • 填料を多く内添する特徴があります。
  • 現在では、木材パルプ100%に炭酸カルシウムを主体とした填料を30%近く内添し、クリーム色の顔料を加えて表面サイズを施した後、スーパーカレンダーで平滑化して作ります。
  • 坪量は薄いもので、25~28g/㎥、33~38g/㎥の用紙が辞典の本文用紙によく用いられます
色上質紙
  • 漂白化学パルプ100%使用の着色紙で、表紙、目次、見返し、プログラム、カタログ、健康保険証等に使用されます。
  • 連量、色数も豊富で、上質紙(印刷用紙A)同様に汎用性が高く、装飾的な要素を少しだけ入れたいときや、頁の中で区分けをするとき等、幅広く用いられます。
  • 色数30色を揃えているメーカーもありますが、クリーム、浅黄、鶯、桃が基本四色で、全体の60~70%を占めます。
ファンシーペーパー
  • 装飾性を高めたものが、ファンシーペーパーといわれるもので、何処から何処までという細かい規定はなく、その境目は不明瞭です。
  • 特徴の一つとして、用紙1枚から供給されることが挙げられます
  • ファンシーペーパーの主な特性は、色とテクスチェア(表面の構造・状態)です。
  • 厚さと組み合わせると、優に千を越えるアイテムになります。
  • テクスチェアは、抄紙機の網に細工をして模様を付けるもの、プレスフェルトで模様を付けるもの、エンボス等、さまざまな方法で凹凸や模様、色を付けます。また、この模様も、規則正しいものからランダムなものまで各種あります。凹凸も、すぐに触ってわかるような大きな凹凸から、微妙な風合いのものまでいろいろあります。
  • 色に品揃えがあるのも特徴、白で10色以上あり、1テクスチェアで126色揃えているものまであります。
  • 金属光沢を施したり、金属粉や各種物質を混ぜ込んだり、あるいは透明性を付与したものもあります。
  • 厚さや連量は、四六110kgを中心に、90kg~135kg程度が中心ですが、極端に薄いものから厚いものまで各種あります。
  • 連、包、包未満、49枚以下で、それぞれ価格に格差があります。
  • 価格帯も幅広いのですが、市況に左右されないというのも特徴の一つです。
新聞巻取紙
  • 機械パルプと脱インキ新聞古紙、化学パルプを配合した新聞印刷用の紙です。
  • 標準坪量は、52±2g/㎥ですが、軽量化が進み、43g/㎥のものが使われています。
  • オフセット印刷適正を有します。(JIS P0001、<6081>)
  • 用紙の軽量化は著しく、1999年には43g/㎥が93.4%になり、42g/㎥、41g/㎥品の検討が進んでいます。
  • 用紙の要求品質の一例では、高不透明性・高表面強度・低い断紙率(高い伸び、引張り強さ)があります。

※本項は、株式会社美術出版社刊「紙の大百科」の、原 啓志氏著「知って得する紙の基礎知識」の一部を引用させていただきました。